テーマ:名作映画にみる「日本のお母さん」
講師:矢野 寛治さん (映画・文芸評論家)
戦前、戦後の「母」をテーマにした日本映画4本の見どころを中心に紹介してもらいました。
①「一人息子」(昭和11年、小津安二郎監督)
主演は飯田蝶子,息子役に日守新一。
息子の学問と出世のために苦労したのに、親の期待通りにはいかない様を描く。
②「陸軍」(昭和19年、木下恵介監督)
主演は田中絹代、笠智衆。
我が子を天皇の赤子として、軍隊に差し出した母の思いを描く。
博多の街並みがたくさん出現。
③「東京物語」(昭和28年、小津安二郎監督)
主演は笠智衆、母に東山千榮子、息子に山村聰、娘に杉村春子。
子どもたちに会いに上京するも、うっとうしがられる母の「あきらめ」の心が描かれている。矢野さん評「世界一の映画です」
④「日本の悲劇」(昭和28年、木下恵介監督)
主演は母に望月裕子、娘に桂木洋子、息子に田浦正巳)
戦後、食べていくために、苦労して働く母の姿を見て毛嫌いする。息子は努力して医者になるが、苦労をした母を捨てる。生きる望みを絶たれた母の最後の姿が身につまされる。
4本の映画で「日本の母とは」を学ばせてもらったと思います。
教室生は講師の軽妙な語り口と映画のポイントの説明を楽しんでもらったと思われるし、今更ながらに画面に現れた母親の気持ちを感じてもらえたのではないでしょうか。